「古賀市は福岡市にも近いし、実家が空き家になっても借り手や買い手はすぐ見つかるのでは」――そう考えている方もいるかもしれません。隣の新宮町に実家がある方のなかにも、同じように考えている方がいるかもしれません。

国の統計で2つの市町の空き家を種類ごとに分けて見ると、中身はかなり違っていました。古賀市の空き家はおよそ7割が賃貸用の空き家です。一方の新宮町は、賃貸用・売却用・二次的住宅のどれにも当たらない空き家(統計上の「その他空き家」)が空き家の4割強を占め、そのうち9割を超える数が一戸建でした。このページでは、2つの市町の空き家の数字を分けて見たうえで、窓口と空き家バンクの違いを整理します。

なお、国勢調査の人口と世帯の動きは、新宮町については糟屋郡の実家、売る?貸す?人口が増える地域ならではの事情で、糟屋郡7町の並びのなかで詳しく扱いました。古賀市と同じ圏域の宗像市・福津市は宗像市・福津市の記事で扱っています。このページは、住宅・土地統計調査で見た空き家の中身を中心にしています。

5年間の人口は、2市町とも減った

先に、国勢調査の数字を短く押さえておきます。以下は総務省統計局「令和7年国勢調査」人口等基本集計の表1-1-3(政府統計の総合窓口)から取った、2020年(令和2年)から2025年(令和7年)までの5年間の人口の増減です(同じ調査の「都道府県・市区町村別の主な結果」の表でも同じ値であることを、2026年10月24日に確認しました)。

地域人口の増減人口の増減率
古賀市475人減△0.81%
新宮町742人減△2.25%
福岡県57,429人減△1.12%

人口は2つの市町とも減り、減少率は古賀市が福岡県全体より小さく、新宮町は大きくなっています。世帯数の動きを含めた新宮町の数字は、冒頭で紹介した糟屋郡の記事にまとめています。この表からは、増減の理由までは分かりません。

古賀市の空き家は約7割が賃貸用、新宮町は4割強が「その他空き家」

ここからが、このページの中心です。総務省統計局の「令和5年住宅・土地統計調査」は、人が住んでいない住宅のうち空き家を、「賃貸用の空き家」「売却用の空き家」「二次的住宅(別荘など)」「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」の4つに分けて数えています。4つ目は、総務省統計局の令和5年住宅・土地統計調査 用語の解説で次のように説明されています(2026年10月24日確認)。

賃貸用の空き家、売却用の空き家及び二次的住宅以外の人が住んでいない住宅で、例えば、転勤・入院などのため居住世帯が長期にわたって不在の住宅や建て替えなどのために取り壊すことになっている住宅など(注:空き家の種類の判断が困難な住宅を含む。)

総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 用語の解説」

私たちは、親が住まなくなり、貸しにも売りにも出していない実家は、この説明に近い状態だと見ています(実際にどの種類に数えられるかは、調査での判断によります)。名前が長いので、このページでは以下「その他空き家」と呼びます。

次の表は、同じ調査の住宅及び世帯に関する基本集計表1-2-1(居住世帯の有無別住宅数、2026年10月24日確認)から取りました。割合は当サイトで計算し、小数第2位を四捨五入しています。

地域住宅空き家空き家率その他空き家空き家に占める割合
古賀市26,990戸3,100戸11.5%880戸28.4%
新宮町13,740戸1,160戸8.4%490戸42.2%
福岡県2,703,300戸335,300戸12.4%125,500戸37.4%
全国65,046,700戸9,001,600戸13.8%3,856,000戸42.8%

空き家率は、2つの市町とも福岡県全体と全国を下回っています。空き家のうちその他空き家が占める割合では、古賀市は福岡県全体を下回り、新宮町は福岡県全体を上回っています(全国はわずかに下回ります)。

同じ表から、空き家のうち賃貸用の空き家の割合を当サイトで計算すると、古賀市が約71.0%(2,200戸)、新宮町が約42.2%(490戸)、福岡県全体が約56.4%でした。古賀市の空き家は、7割ほどが賃貸用です。

なお、この調査は標本調査で、統計表の数値には標本誤差が含まれます。また、市区町村(21大都市を除く)の数値は1の位を四捨五入して10の位までで表されています(総務省統計局「統計表利用上の注意」、2026年10月24日確認)。国勢調査(2025年)と住宅・土地統計調査(2023年)は、調査の年も調べているものも違います。このページでは2つを並べていますが、一方が他方の原因だという意味ではありません。

新宮町のその他空き家は、一戸建が93.9%

空き家の種類を建物の建て方と組み合わせた表もあります(同じ調査の住宅及び世帯に関する基本集計表34-2、2026年10月24日確認)。そこから、その他空き家の数と、そのうち一戸建の数を抜き出しました。割合は当サイトで計算しています。

地域その他空き家住宅に占める割合うち一戸建一戸建の割合
古賀市880戸3.3%710戸80.7%
新宮町490戸3.6%460戸93.9%
福岡県125,500戸4.6%92,500戸73.7%

住宅全体に占めるその他空き家の割合は、2つの市町とも福岡県全体を下回ります。一方で、その他空き家のうち一戸建が占める割合は、2つの市町とも福岡県全体を上回り、新宮町は9割を超えています。

同じ表で古賀市の賃貸用の空き家2,200戸を建て方で分けると、2,030戸が「長屋建・共同住宅・その他」、180戸が一戸建でした(内訳の合計が総数と合わないのは、上で書いた四捨五入のためと考えられます)。

私たちはこの2つの表を、「古賀市の空き家の数字は、共同住宅などの賃貸用の空き家が大きな部分を占めていて、実家のような一戸建の空き家は、空き家全体の数字からは見えにくい」と読んでいます。新宮町は、空き家が1,160戸と古賀市(3,100戸)より少ないものの、その他空き家のほとんどが一戸建です。ただし、これは統計の数字の形から読めることで、個々の家の事情や、なぜそうなっているのかは表からは分かりません。

古賀市の空き家・空き地バンクは、指定不動産業者との専任媒介契約が前提

古賀市には、市の空き家・空き地バンクがあります。空き家・空き地バンクのしくみのページには、次のような注意事項が書かれています(2026年10月24日確認)。

  • 市は空き家・空き地情報の紹介や必要な連絡調整を行うが、交渉・契約の媒介等は行わない。交渉や契約は、市が指定する不動産業者の媒介のもとで進める
  • 物件所有者と指定不動産業者が取り交わす契約は「専任媒介契約」。ほかの業者と媒介契約している物件は登録できない
  • 登録は無料。売買・賃貸借が成約した段階で、指定不動産業者に法律で定められた仲介手数料が必要
  • 掲載物件は、市街化調整区域その他の要件により、賃借・購入は可でも再建築(建替)が困難な場合がある

つまり、すでに別の不動産会社に売却や賃貸を頼んでいる実家は、そのままでは市のバンクには載せられない、ということです。また、福岡県の移住・定住ポータル「福がお~かくらし」の空き家についてのページから古賀市空き家バンクの物件情報サイトへ進むと、2026年10月24日の時点ではメンテナンス中の表示でした。

新宮町については、同じ県のページに並ぶ市町村空き家バンクの一覧に、2026年10月24日の時点で新宮町の名前は見当たりませんでした。

売りやすい側・売りにくい側として読める点

売りやすい側として読める点:2つ目の表の、空き家率の列です。

売りにくい側として読める点:2つ目の表の、新宮町の「空き家に占める割合」の列と、3つ目の表の「一戸建の割合」の列です。

どちらの点も、統計や市のページから読めることで、個々の家が売れるかどうかを示すものではありません。

実家の話を先に延ばしているあいだに、かかわってくること

上で引用した用語の解説では、入院などのため居住世帯が長期にわたって不在の住宅も、その他空き家の例に挙がっていました。家族が「まだ空き家ではない」と考えている時期でも、統計の上では空き家の側に数えられうる、ということです。

もうひとつは名義です。名義については相続登記の義務化とは?で扱っています。

相場を自分で調べる3ステップ

  1. 国土交通省の不動産情報ライブラリで、不動産価格(取引価格・成約価格)情報を開き、実家のある市町の取引の例を見る。
  2. 不動産のポータルサイトで、同じ市町で売りに出ている、近い広さの一戸建てや土地を見る。
  3. 同じ不動産情報ライブラリの地価公示・都道府県地価調査で、実家に近い地点の価格を見る。

古賀市・新宮町の窓口と空き家バンク

古賀市:古賀市 空き家・空き地バンク(都市整備課 開発指導係、電話092-942-1119)。登録の流れや指定不動産業者の一覧は、空き家・空き地バンクのしくみのページから開けます。

新宮町:空き家の扱いについては、新宮町役場にお問い合わせください。町の公式サイトの住まいのページには、公営住宅などの案内が載っています。

内容は2026年10月24日に各ページで確認したものです。最新の情報は、各窓口でご確認ください。

まず何から手をつけるか、3つだけ

  1. 古賀市に実家がある場合は、市の「空き家・空き地バンクのしくみ」のページで、登録の条件(指定不動産業者との専任媒介契約)と注意事項を読む。
  2. 実家の名義と、家族のなかで不動産会社と媒介契約を結んでいる人がいないかを確かめる。
  3. 上の3ステップの1つ目で、実家のある市町の取引の例を一度見てみる。

まとめ:空き家の数と、空き家の中身は別に見る

古賀市と新宮町は、空き家率がどちらも福岡県全体を下回っています。それでも、空き家を種類と建て方で分けると、古賀市は賃貸用の空き家が7割ほどを占め、新宮町はその他空き家が4割強で、その9割を超える数が一戸建でした。実家のような一戸建の空き家の様子は、空き家率だけを見ていると分かりにくいということです。

窓口の形も、上の章で見たとおり2つの市町で違います。数字はあくまで地域全体の形で、ご実家をどうするかは、家の状態と家族の考えを確かめてから決めることになります。

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