「空き家が多いのは、駅の近くのアパートの話やろ。うちの実家とは関係なかよ」――そう考えて、実家の話を後回しにしていませんか。

総務省統計局の「令和5年住宅・土地統計調査」には、北九州市の7つの区ごとに、住宅の数と空き家の数が載っています。空き家の数を住宅の数で割った「空き家率」で並べると、小倉北区は7区のうち2番目に高い区です。ところが、空き家を種類ごとに分けて、そのうちの1つの種類が住宅に占める割合で並べ直すと、小倉北区は7区のいちばん下に移ります。

このページでは、北九州市の空き家を「種類」で分けて見ていきます。区ごとの人口と世帯の動きは、北九州市の実家、どうする?市全体では世帯が増えたのに、7区のうち4区で減っていたで扱いました。

空き家は4つの種類に分けて数えられています

住宅・土地統計調査では、人が住んでいない住宅のうち「空き家」を、次の4つに分けて数えています(総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 用語の解説」、2026年10月8日確認)。

  • 賃貸用の空き家
  • 売却用の空き家
  • 二次的住宅(別荘など)
  • 賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家

4つ目は、用語の解説では次のように説明されています。

賃貸用の空き家、売却用の空き家及び二次的住宅以外の人が住んでいない住宅で、例えば、転勤・入院などのため居住世帯が長期にわたって不在の住宅や建て替えなどのために取り壊すことになっている住宅など(注:空き家の種類の判断が困難な住宅を含む。)

親が住まなくなり、貸しにも売りにも出していない実家は、この説明に近い状態です(実際にどの種類に数えられるかは、調査での判断によります)。名前が長いので、このページでは以下「その他空き家」と呼びます。

空き家率の順番と、「その他空き家」の順番は違います

以下の数字は、総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」住宅及び世帯に関する基本集計の表1-2-1(居住世帯の有無別住宅数)から取りました(政府統計の総合窓口、2026年10月8日確認)。調査の時点は2023年10月です。割合は当サイトで計算し、小数第2位を四捨五入しています。7区の行は、いちばん右の列が大きい順に並べました。市・県・全国の行は比べるために載せています。

区住宅の数空き家空き家率その他空き家住宅に占めるその他空き家の割合
八幡東区38,990戸8,290戸21.3%4,360戸11.2%
門司区52,770戸9,550戸18.1%4,500戸8.5%
若松区40,390戸6,190戸15.3%3,150戸7.8%
戸畑区32,630戸4,840戸14.8%1,730戸5.3%
八幡西区133,440戸19,910戸14.9%5,780戸4.3%
小倉南区105,130戸13,080戸12.4%3,940戸3.7%
小倉北区114,490戸20,850戸18.2%4,160戸3.6%
北九州市517,800戸82,700戸16.0%27,600戸5.3%
福岡県2,703,300戸335,300戸12.4%125,500戸4.6%
全国65,046,700戸9,001,600戸13.8%3,856,000戸5.9%

空き家率でいちばん高いのは八幡東区で、2番目が小倉北区、3番目が門司区です。小倉北区と門司区の差は0.1ポイントしかありません。

ところが、住宅に占めるその他空き家の割合で並べると、門司区は7区の2番目、小倉北区は7区のいちばん下になります。小倉北区の空き家20,850戸のうち、16,020戸は賃貸用の空き家です(同じ表1-2-1)。

その他空き家の割合が全国を上回っているのは、八幡東区・門司区・若松区の3区です。福岡県全体を上回っているのは、この3区に戸畑区を加えた4区です。

八幡東区・門司区・若松区の3区の数字を足すと、住宅は132,150戸で、7区の住宅を足した数の25.5%です。一方、その他空き家は3区で12,010戸あり、7区のその他空き家を足した数の43.5%にあたります。

なお、この調査は標本調査で、統計表の数値には標本誤差が含まれます。また、数値は表章単位未満の位で四捨五入されているため、区の数字を足しても市の数字と一致しないことがあります(総務省統計局「統計表利用上の注意」)。

同じ「その他空き家」でも、中身は区によって違います

空き家の種類を、建物の建て方や傷み具合と組み合わせた表もあります(総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」住宅及び世帯に関する基本集計の表34-2、2026年10月8日確認)。そこから、その他空き家の行だけを抜き出しました。

区その他空き家うち一戸建うち腐朽・破損あり
八幡東区4,360戸2,730戸1,110戸
門司区4,500戸3,200戸1,100戸
若松区3,150戸2,550戸1,040戸
戸畑区1,730戸870戸600戸
八幡西区5,780戸3,410戸1,150戸
小倉南区3,940戸2,660戸670戸
小倉北区4,160戸2,060戸710戸
北九州市27,600戸17,500戸6,400戸

その他空き家のうち一戸建の割合は、若松区が81.0%で7区でいちばん高く、小倉北区が49.5%でいちばん低くなっています。

その他空き家のうち「腐朽・破損あり」とされた住宅の割合は、戸畑区が34.7%、若松区が33.0%で、ほかの5区は2割台か、それより低い割合です。市全体では23.2%です。いずれも上の表から当サイトで計算しました。

もうひとつの統計と並べると、同じ4つの区が出てきます

北九州市政策局の「令和7年国勢調査 人口等基本集計結果の概要」(令和8年9月30日)の表2では、2020年から2025年にかけて世帯数が減った区は、門司区・若松区・八幡東区・戸畑区の4区でした(2026年10月8日確認)。

この4区は、上の表で住宅に占めるその他空き家の割合が福岡県全体を上回っていた4区と同じ顔ぶれです。

ただし、2つは別の調査で、調べた時点も違います(住宅・土地統計調査は2023年10月、国勢調査は2025年10月)。どちらがどちらの原因かは、この2つの統計からは言えません。並べると同じ4つの区が上に来る、というところまでです。

数字から読める点を、正直に

「売りやすい側」として読める点

最初の表で、住宅に占めるその他空き家の割合が福岡県全体を下回っていた3区(小倉北区・小倉南区・八幡西区)は、貸すためでも売るためでもなく空いている家が、住宅全体のなかでは少ない区だ、と私たちは読んでいます。

「売りにくい側」として読める点

最初の表で全国を上回っていた3区は、貸すためでも売るためでもなく空いている家が、同じ区のなかにほかの区より多くある地域だ、と私たちは見ています。

2つ目の表で、その他空き家のうち「腐朽・破損あり」の割合が高かった2区も、こちら側の点として挙げておきます。

実家の話が先に延びやすい理由

先ほど引用した用語の解説では、入院などのため居住世帯が長期にわたって不在の住宅も、その他空き家の例に挙がっていました。家に住む人が入院などで長く不在になっている間も、統計の上では空き家の側に数えられうる、ということです。

私たちは、家族が「まだ空き家ではない」と考えているこの時期こそ、売るか、貸すか、残すかを決めないまま時間が過ぎやすいと見ています。

北九州市も、こうした状態の家を想定した制度を設けています。「空き家及び空き地管理事業者紹介制度」のページには、対象として「長期不在の留守宅が心配、空き家等を残しておきたいけれどどうしたらいいか分からないといった人」と書かれています(2026年10月8日確認)。

相場を自分で調べる3ステップ

  1. 国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で、実家のある区の取引価格・成約価格を見る。不動産価格(取引価格・成約価格)情報の検索・ダウンロードのページから調べられます
  2. 不動産のポータルサイトで、同じ区の売り出し中の物件を見る。
  3. 固定資産税の納税通知書を手元に出して、土地と家屋の記載を見る。

北九州市の窓口

以下の3つの制度のページは、いずれも北九州市都市戦略局の空き家活用推進課のページです(北九州市役所本庁13階、電話093-582-2777)。制度の中身や受付の方法は変わることがあるので、最新の内容は窓口でご確認ください(以下はいずれも2026年10月8日確認)。

管理を頼みたいとき:空き家及び空き地管理事業者紹介制度

市内の空き家などの管理を行う事業者を、市が紹介する制度です。ページには、管理の例として「外観の点検や家屋の風通し、雨漏りの確認や除草など」が挙がっています。事業者の紹介は、各区役所の総務企画課(小倉北区・小倉南区・八幡西区はコミュニティ支援課)、本庁の空き家活用推進課、市のホームページで行うと書かれています。ページには事業者の名簿も載っています。

相続・登記・売買・賃貸を相談したいとき:空き家総合相談

空き家総合相談のページには、「空き家に関しての相続や登記のほか、売買、賃貸などの専門的な相談は、市が窓口となり、専門家の団体と連携して対応します」とあります。受付は空き家活用推進課で、受付時間は午前8時30分から午後5時00分まで(土曜日、日曜日、祭日、年末年始を除く平日)です。連携している専門家の団体は、空き家総合相談のページに載っています。

売る・貸すときの仲介事業者を紹介してほしいとき:北九州市空き家バンク

空き家をお持ちの方へ(北九州市空き家バンク)のページでは、この事業について「売りたい、または貸したい方を対象に、仲介して頂く不動産事業者を紹介する制度です」と説明し、「市や不動産事業者が直接空き家を買い取る、または借りる制度ではありません」と注意書きがあります。

まず何から手をつけるか、3つだけ

  1. 上の2つの表で、ご実家がある区の行を見る。空き家率の列と、その他空き家の列の両方を見る
  2. ご実家がいま、貸しに出しているのか、売りに出しているのか、どちらでもないのかを家族で確かめる。4つの種類は上の章のとおりです
  3. 管理を頼むのか、相談するのかを決めて、窓口に連絡する。窓口は上の章に並べました

まとめ:「空き家率」ひとつで区を見ないこと

空き家率が同じくらいの区でも、空き家の中身は違っていました。ご実家のある区を、上の表で「その他空き家」の列からご覧ください。

私たちは不動産会社ですが、売ることを前提にお話はしていません。いまは売らないほうがいい実家もあります。まずはご実家がどの状態にあるかを確かめるところから始めてください。

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よくある質問

Q. 空き家率が高い区ほど、実家が空き家になりやすいということですか?

A. 空き家率には賃貸用の空き家も含まれています。区ごとの中身の違いは、本文の「空き家率の順番と、『その他空き家』の順番は違います」の章をご覧ください。

Q. 親が入院中で誰も住んでいない家も、空き家に入りますか?

A. 本文の「空き家は4つの種類に分けて数えられています」と「実家の話が先に延びやすい理由」の章をご覧ください。