「糸島の実家は、ときどき泊まりに帰っているから、空き家というほどではない」――そう考えている方もいるかもしれません。
総務省統計局の「令和5年住宅・土地統計調査」で糸島市の空き家を種類ごとに分けると、空き家3,860戸のうち890戸、割合にして23.1%が、別荘などの「二次的住宅」でした。同じ割合は、福岡県全体で1.3%、全国で4.3%です。そして、糸島市の空き家の51.3%は、賃貸用・売却用・二次的住宅のどれにも当たらない「その他空き家」でした。
このページでは、糸島市の空き家を「種類」で分けて見ていきます。令和7年国勢調査で見た人口・世帯の動き(旧前原市・旧二丈町・旧志摩町の違い)や、市の空き家バンク・戸建て住宅ニーズバンクの入口は、糸島市の実家、どうする?「増えている市」の中で、旧志摩町だけ人口が減っていたで扱いました。
空き家は4つの種類に分けて数えられています
住宅・土地統計調査では、人が住んでいない住宅のうち「空き家」を、「二次的住宅」「賃貸用の空き家」「売却用の空き家」「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」の4つに分けて数えています。総務省統計局の令和5年住宅・土地統計調査 用語の解説では、二次的住宅はさらに「別荘」と「その他」に分かれ、次のように説明されています(2026年11月4日確認)。
別荘:週末や休暇時に避暑・避寒・保養などの目的で使用される住宅で、ふだんは人が住んでいない住宅
その他:ふだん住んでいる住宅とは別に、残業で遅くなったときに寝泊まりするなど、たまに寝泊まりしている人がいる住宅
総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 用語の解説」
4つ目の「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」は、同じ用語の解説で次のように説明されています。
賃貸用の空き家、売却用の空き家及び二次的住宅以外の人が住んでいない住宅で、例えば、転勤・入院などのため居住世帯が長期にわたって不在の住宅や建て替えなどのために取り壊すことになっている住宅など(注:空き家の種類の判断が困難な住宅を含む。)
総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 用語の解説」
名前が長いので、このページでは以下「その他空き家」と呼びます。
糸島市の空き家は、4分の1近くが「二次的住宅」
以下の数字は、総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」住宅及び世帯に関する基本集計の第1-2表(居住世帯の有無別住宅数)から取りました(政府統計の総合窓口、2026年11月4日確認)。調査の時点は2023年10月です。割合は当サイトで計算し、小数第2位を四捨五入しています。
| 地域 | 住宅の数 | 空き家 | 空き家率 | 二次的住宅 | 空き家に占める二次的住宅の割合 |
|---|---|---|---|---|---|
| 糸島市 | 43,410戸 | 3,860戸 | 8.9% | 890戸 | 23.1% |
| 福岡県 | 2,703,300戸 | 335,300戸 | 12.4% | 4,300戸 | 1.3% |
| 全国 | 65,046,700戸 | 9,001,600戸 | 13.8% | 383,500戸 | 4.3% |
同じ表で、空き家を4つの種類に分けた内訳は次のとおりです。
| 地域 | その他空き家 | 賃貸用の空き家 | 売却用の空き家 | 二次的住宅 |
|---|---|---|---|---|
| 糸島市 | 1,980戸(51.3%) | 700戸(18.1%) | 290戸(7.5%) | 890戸(23.1%) |
| 福岡県 | 125,500戸(37.4%) | 189,100戸(56.4%) | 16,500戸(4.9%) | 4,300戸(1.3%) |
| 全国 | 3,856,000戸(42.8%) | 4,435,800戸(49.3%) | 326,200戸(3.6%) | 383,500戸(4.3%) |
かっこ内は、空き家の総数に占める割合です。
糸島市の二次的住宅890戸は、福岡県全体の二次的住宅4,300戸の20.7%にあたります。この表に載っている福岡県の47市町村(区を除く)のなかで、二次的住宅の戸数が最も多いのが糸島市で、次に多い北九州市と福岡市はどちらも500戸でした。糸島市では、二次的住宅(890戸)が賃貸用の空き家(700戸)を上回っています。福岡県全体と全国では、どちらも賃貸用の空き家のほうがずっと多い数字です。
なお、この調査は標本調査で、統計表の数値には標本誤差が含まれます。また、統計表の数値は表章単位未満の位で四捨五入されているため、総数と内訳の合計は必ずしも一致しません(総務省統計局「統計表利用上の注意」、2026年11月4日確認)。
その他空き家の中身:一戸建の割合と、腐朽・破損ありの割合
空き家の種類を、腐朽・破損の有無や建物の建て方と組み合わせた表もあります(総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」住宅及び世帯に関する基本集計の第34-2表、2026年11月4日確認)。そこから、その他空き家の数と、そのうち一戸建の数、腐朽・破損ありの数を抜き出しました。割合は当サイトで計算しています。
| 地域 | その他空き家 | うち一戸建 | 一戸建の割合 | うち腐朽・破損あり | 腐朽・破損ありの割合 |
|---|---|---|---|---|---|
| 糸島市 | 1,980戸 | 1,880戸 | 94.9% | 280戸 | 14.1% |
| 福岡県 | 125,500戸 | 92,500戸 | 73.7% | 29,200戸 | 23.3% |
| 全国 | 3,856,000戸 | 2,851,100戸 | 73.9% | 895,300戸 | 23.2% |
「腐朽・破損あり」は、同じ用語の解説で「建物の主要部分やその他の部分に不具合があるもの」とされ、例として、外壁がところどころ落ちていたり、かわらが一部はずれていたりするものが挙がっています。
糸島市のその他空き家は、94.9%が一戸建でした。福岡県全体と全国を20ポイント以上上回ります。腐朽・破損ありの割合は14.1%で、福岡県全体と全国を下回っています。同じ表では、糸島市の二次的住宅890戸のうち610戸が一戸建でした。
数字から読める点を、正直に
空き家率の低さだけでは、中身は分からない
1つ目は、空き家率と空き家の種類の関係です。空き家率が県や全国より低い市でも、空き家の内訳は県や全国とは違う形をしている、と読めます。
空き家の中に、二次的住宅が多い
2つ目は、二次的住宅です。糸島市の空き家の数を見るときは、別荘などの二次的住宅がまとまった数で含まれていることを踏まえて読む必要がある、と私たちは見ています。
その他空き家は、一戸建が中心
3つ目は、その他空き家です。賃貸用・売却用・二次的住宅のどれにも当たらない空き家(その他空き家)は、糸島市ではほとんどが一戸建だと読めます。
どの点も、統計の数字の並びから読めることで、個々の家が売れるかどうかを示すものではありません。数字がこうなった原因についても、これらの表からは言えません。
「ときどき泊まっている実家」は、統計ではどこに入るのか
冒頭の一言のように、家族がときどき泊まりに帰っている実家は「空き家ではない」と考える方もいるかもしれません。ただ、最初に引用した用語の解説では、「たまに寝泊まりしている人がいる住宅」は二次的住宅の「その他」の説明に、「居住世帯が長期にわたって不在の住宅」はその他空き家の例に挙がっていました。どちらも、統計の上では空き家の側に数えられる種類です(実際にどの種類に数えられるかは、調査での判断によります)。
帰ったときに何を見ておくかは、帰省のときの実家点検、何を見る?で、国の指針にある点検の項目と、帰省だけでは足りないところを整理しました。遠方から管理を続けるときに先に決めておくことは、遠方に住みながら実家を管理する方法にまとめています。実家の名義の話は、相続登記の義務化とは?で扱っています。
相場を自分で調べる3ステップ
- 国土交通省の不動産情報ライブラリで、不動産価格(取引価格・成約価格)情報を開き、糸島市の取引の例を見る。
- 不動産のポータルサイトで、同じ地区で売りに出ている、近い広さの一戸建てや土地を見る。
- 手元にある固定資産税の納税通知書で、土地と建物の評価額を確かめる。
糸島市の窓口と空き家バンク
空き家の相談窓口:糸島市の空き家の適正管理のお願いのページ(更新日2026年6月18日)は、市の空き家に関する取り組みを一覧にし、空き家の利活用や適正管理に関する相談の窓口をコミュニティ推進課(電話092-332-2062)と案内しています。同じページによると、「相続」「賃貸・売買」「解体・改修」に関する「わが家の未来相談会」を年に2回、8月と12月頃に開いていて、いま使っている家を将来空き家にしないための相談もできます。
空き家出張相談:糸島市の糸島市空き家出張相談のページ(更新日2026年9月15日)によると、宅地建物取引業者が申込者の立ち会いのもとで空き家を訪ね、現地で相談・助言を行う制度です。対象は市内の一戸建ての住宅(法人所有を除く。未登記の物件や、都市計画法その他法令に違反しているものは除く)で、対象者は、空き家の所有者(相続により所有者となる者を含む)またはその同意を得た親族であって、かつ将来売却または賃貸を考えている人とされています。申し込みには登記事項証明書の写しなどの書類が要るので、ページで確かめてください。
糸島市空き家バンク:市の糸島市空き家バンクのページ(更新日2026年8月13日)によると、登録できる空き家の主な要件は、市内にある一戸建ての住宅で、人が住んでいないか住まなくなる予定のものであることです。所有者についての要件もあります。登録には、市の名簿にある登録宅建業者との媒介契約が必要で、共有名義の場合は、所有者全員の同意書と、申請者以外の所有者全員の委任状が要るとされています。
相談の受付方法や登録の要件は変わることがあります。内容は2026年11月4日に各ページで確認したものです。最新の情報は、窓口でご確認ください。
まず何から手をつけるか、3つだけ
- 実家がいま、家族がときどき泊まる家なのか、誰も泊まらなくなった家なのかを、家族のあいだで言葉にしておく。
- 実家の名義と、家族のなかで誰がどう考えているかを書き出す。共有名義かどうかも確かめる。
- 相場を上の3ステップで一度調べてから、コミュニティ推進課に相談する。
まとめ:空き家の「率」と「種類」は分けて見る
糸島市の空き家は、空き家率だけを見ると県や全国より少なく見えます。種類に分けると、二次的住宅とその他空き家が大きな部分を占めていました。空き家の数字は、率と種類を分けて見ることをおすすめします。
私たちは不動産会社ですが、売ることを前提にお話はしていません。いまは売らないほうがいい実家もあります。まずは実家がいまどの状態にあるかを、家族で確かめるところから始めてください。
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