「佐賀の実家は、まだ誰も住まなくなって間がないから、空き家というほどではない」――そう考えている方もいるかもしれません。

総務省統計局の「令和5年住宅・土地統計調査」で佐賀県の空き家を種類ごとに分けると、県全体の空き家53,300戸のうち28,300戸、割合にして53.1%が、賃貸用・売却用・二次的住宅のどれにも当たらない「その他空き家」でした。同じ割合は、福岡県全体で37.4%、全国で42.8%です。市町別に見ると、多久市と白石町では85.1%に達します。

このページでは、佐賀県の市町の空き家を「種類」で分けて見ていきます。佐賀県の空き家の相談窓口や、人口・世帯の動きは佐賀県の実家を福岡から動かす方法|窓口は県が1枚にまとまっていますで扱いました。

空き家は4つの種類に分けて数えられています

住宅・土地統計調査では、人が住んでいない住宅のうち「空き家」を、「賃貸用の空き家」「売却用の空き家」「二次的住宅(別荘など)」「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」の4つに分けて数えています。4つ目は、総務省統計局の令和5年住宅・土地統計調査 用語の解説で次のように説明されています(2026年10月31日確認)。

賃貸用の空き家、売却用の空き家及び二次的住宅以外の人が住んでいない住宅で、例えば、転勤・入院などのため居住世帯が長期にわたって不在の住宅や建て替えなどのために取り壊すことになっている住宅など(注:空き家の種類の判断が困難な住宅を含む。)

総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 用語の解説」

親が住まなくなり、貸しにも売りにも出していない実家は、この説明に近い状態です(実際にどの種類に数えられるかは、調査での判断によります)。名前が長いので、このページでは以下「その他空き家」と呼びます。

佐賀県は、空き家の半分以上が「その他空き家」

以下の数字は、総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」住宅及び世帯に関する基本集計の表1-2-1(居住世帯の有無別住宅数)から取りました(政府統計の総合窓口、2026年10月31日確認)。調査の時点は2023年10月です。割合は当サイトで計算し、小数第2位を四捨五入しています。市町は、空き家に占めるその他空き家の割合が高い順に並べました。佐賀県・福岡県・全国の行は比べるために載せています。

市町住宅の数空き家空き家率その他空き家空き家に占めるその他空き家の割合
多久市8,000戸1,340戸16.8%1,140戸85.1%
白石町8,470戸1,340戸15.8%1,140戸85.1%
有田町8,140戸890戸10.9%730戸82.0%
伊万里市22,900戸2,880戸12.6%2,020戸70.1%
みやき町10,920戸1,290戸11.8%900戸69.8%
基山町7,930戸770戸9.7%470戸61.0%
小城市18,650戸2,180戸11.7%1,310戸60.1%
武雄市20,410戸2,720戸13.3%1,590戸58.5%
唐津市52,130戸7,710戸14.8%4,320戸56.0%
神埼市13,320戸1,820戸13.7%990戸54.4%
鹿島市11,250戸1,430戸12.7%730戸51.0%
鳥栖市34,110戸4,110戸12.0%1,940戸47.2%
嬉野市10,740戸1,550戸14.4%710戸45.8%
佐賀市116,270戸18,190戸15.6%7,490戸41.2%
吉野ヶ里町7,650戸1,510戸19.7%400戸26.5%
佐賀県367,900戸53,300戸14.5%28,300戸53.1%
福岡県2,703,300戸335,300戸12.4%125,500戸37.4%
全国65,046,700戸9,001,600戸13.8%3,856,000戸42.8%

佐賀県には20の市町がありますが、この表に数字が載っているのは15市町で、上峰町・玄海町・大町町・江北町・太良町の5町の行はありません。

15市町のうち、空き家に占めるその他空き家の割合が全国(42.8%)を上回るのは13市町で、下回るのは佐賀市と吉野ヶ里町の2つです。福岡県全体(37.4%)を下回るのは、吉野ヶ里町だけでした。半分を超える市町は、多久市から鹿島市までの11市町です。

令和7年国勢調査で5年間に人口が増えた佐賀県の市町は、鳥栖市・上峰町・基山町の3つでした(総務省統計局「令和7年国勢調査 都道府県・市区町村別の主な結果」、2026年10月31日確認)。このうち表に数字がある鳥栖市(47.2%)と基山町(61.0%)も、空き家に占めるその他空き家の割合は全国を上回っています。人口の増減と空き家の中身は、別々に見たほうがよい数字だと私たちは考えています。

なお、この調査は標本調査で、統計表の数値には標本誤差が含まれます。また、統計表の数値は表章単位未満の位で四捨五入されているため、総数と内訳の合計は必ずしも一致しません(総務省統計局「統計表利用上の注意」、2026年10月31日確認)。戸数の少ない町の割合は、とくに幅をもって見てください。

その他空き家の中身:一戸建の割合と、腐朽・破損ありの割合

空き家の種類を、腐朽・破損の有無や建物の建て方と組み合わせた表もあります(総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」住宅及び世帯に関する基本集計の表34-2、2026年10月31日確認)。そこから、その他空き家の数と、そのうち一戸建の数、腐朽・破損ありの数を抜き出しました。割合は当サイトで計算しています。並び順は1つ目の表と同じです。

市町その他空き家うち一戸建一戸建の割合うち腐朽・破損あり腐朽・破損ありの割合
多久市1,140戸710戸62.3%290戸25.4%
白石町1,140戸1,110戸97.4%210戸18.4%
有田町730戸680戸93.2%150戸20.5%
伊万里市2,020戸1,670戸82.7%210戸10.4%
みやき町900戸880戸97.8%300戸33.3%
基山町470戸290戸61.7%90戸19.1%
小城市1,310戸1,150戸87.8%370戸28.2%
武雄市1,590戸1,500戸94.3%500戸31.4%
唐津市4,320戸3,840戸88.9%1,300戸30.1%
神埼市990戸940戸94.9%180戸18.2%
鹿島市730戸670戸91.8%120戸16.4%
鳥栖市1,940戸1,390戸71.6%240戸12.4%
嬉野市710戸680戸95.8%180戸25.4%
佐賀市7,490戸6,000戸80.1%2,380戸31.8%
吉野ヶ里町400戸380戸95.0%110戸27.5%
佐賀県28,300戸23,500戸83.0%7,500戸26.5%
福岡県125,500戸92,500戸73.7%29,200戸23.3%
全国3,856,000戸2,851,100戸73.9%895,300戸23.2%

「腐朽・破損あり」は、同じ用語の解説で「建物の主要部分やその他の部分に不具合があるもの」とされ、例として、外壁がところどころ落ちていたり、かわらが一部はずれていたりするものが挙がっています。

佐賀県全体では、その他空き家の83.0%が一戸建で、福岡県全体と全国を約9ポイント上回ります。一戸建の割合が9割を超えるのは、みやき町・白石町・嬉野市・吉野ヶ里町・神埼市・武雄市・有田町・鹿島市の8市町です。反対に、その他空き家の割合が白石町と並んで15市町で最も高い(85.1%)多久市は、一戸建の割合が62.3%で、基山町(61.7%)に次いで低くなっています。

腐朽・破損ありの割合は、佐賀県全体で26.5%です。3割を超えるのは、みやき町・佐賀市・武雄市・唐津市の4市町でした。

数字から読める点を、正直に

その他空き家の割合が低い側

1つ目は、1つ目の表の吉野ヶ里町の行です。空き家率は19.7%で15市町のなかで最も高い一方、空き家1,510戸のうち1,030戸が賃貸用の空き家で(同じ表1-2-1)、空き家に占めるその他空き家の割合は26.5%と15市町で最も低くなっています。

その他空き家の割合が高い側と、その中身

2つ目は、1つ目の表の上から3行(多久市・白石町・有田町)です。空き家に占めるその他空き家の割合が、8割を超えていました。

3つ目は、2つ目の表の佐賀県の行です。一戸建の割合と腐朽・破損ありの割合が、どちらも福岡県全体と全国を上回っています。

どの点も、統計の数字の並びから読めることで、個々の家が売れるかどうかを示すものではありません。数字がこうなった原因についても、これらの表からは言えません。

「まだ空き家ではない」と思っていても、統計では空き家の側に数えられうる

最初に引用した用語の解説では、入院などのため居住世帯が長期にわたって不在の住宅も、その他空き家の例に挙がっていました。家族が「まだ空き家ではない」と考えている時期でも、統計の上では空き家の側に数えられうる、ということです。

佐賀の実家で話が先送りになりやすい事情は、佐賀県の実家を福岡から動かす方法の「なぜ先送りになるのか(佐賀の場合)」の章で扱いました。実家の名義の話は、相続登記の義務化とは?で扱っています。

相場を自分で調べる3ステップ

  1. 国土交通省の不動産情報ライブラリで、不動産価格(取引価格・成約価格)情報を開き、実家のある市町の取引の例を見る。
  2. 不動産のポータルサイトで、同じ市町で売りに出ている、近い広さの一戸建てや土地を見る。
  3. 同じ不動産情報ライブラリの地価公示・都道府県地価調査で、実家に近い地点の価格を見る。

佐賀県の窓口と空き家バンク

佐賀県:佐賀県建築住宅課の空き家ポータルサイト「あき家を、よき家に」の空き家バンクのページには、「現在、県内全20市町で空き家バンク制度に取り組まれています。」と書かれ、各市町の窓口の課名・電話番号・制度名が一覧になっています。実家のある市町の窓口は、まずここで確かめられます。

多久市:県の一覧から案内されている多久市の空き家バンク概要のページは、空き家・空き地の所有者と、利用したい人との結びつきを支援する制度だと説明しています。同じページの「ご利用上の注意」には、市は売買・賃貸借の交渉や契約のあっせん・仲介は行わないこと、物件の状態またはその物件の固定資産税の滞納が判明した場合は登録を断ることがあること、登録物件の利用申し込みは自身が居住する目的に限ること、宅地建物取引業者は登録・利用申し込みができないことなどが書かれています(県の一覧での窓口は多久市環境課、電話0952-75-8440)。

白石町:県の一覧での窓口は白石町総合戦略課(電話0952-84-7132)、制度名は「空き家・空き地バンク制度」です。町の白石町空き家・空き地バンクのページで、登録されている物件を見ることができます。

鳥栖市:鳥栖市の空き家対策についてのページ(更新日2026年4月9日)は、空き家・空き地バンク制度のほか、空家等を所有・相続する方が相談できる各専門家団体への無料の相談窓口を設けていることを案内し、空き家全般のことは建設課に問い合わせるよう書いています(建設課住宅係、電話0942-85-3600)。

相談の受付方法や登録の要件は変わることがあります。内容は2026年10月31日に各ページで確認したものです。最新の情報は、各窓口でご確認ください。

まず何から手をつけるか、3つだけ

  1. 上の2つの表で、実家がある市町の行を見る。空き家率だけでなく、その他空き家の割合の列も見ます。表にない5町の数字は、この2つの表からは分かりません。
  2. 実家の名義と、家族のなかで誰がどう考えているかを書き出す。
  3. 相場を上の3ステップで一度調べてから、県の一覧で実家のある市町の窓口を確かめて相談する。

まとめ:空き家の「率」と「中身」は分けて見る

佐賀県の空き家に占めるその他空き家の割合は53.1%で、福岡県全体や全国より高い値でした。吉野ヶ里町の例のように、空き家率だけでは、その市町の空き家の中身までは分かりません。

私たちは不動産会社ですが、売ることを前提にお話はしていません。いまは売らないほうがいい実家もあります。まずは実家のある市町の数字と、実家がいまどの状態にあるかを確かめるところから始めてください。

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