「大牟田市は人が減っているから空き家が多くて、久留米市はそうでもないのでは」――そう考えている方もいるかもしれません。
総務省統計局の「令和5年住宅・土地統計調査」で3つの市の空き家を比べると、空き家の総数は久留米市が22,890戸で、大牟田市(12,760戸)の約1.8倍です。ところが、空き家を種類ごとに分けて、賃貸用・売却用・二次的住宅のどれにも当たらない「その他空き家」だけを取り出すと、久留米市は7,660戸、大牟田市は7,540戸で、差は120戸でした。
このページでは、筑後の久留米市・大牟田市と、筑豊の飯塚市の空き家を「種類」で分けて見ていきます。福岡市の区ごとの数字は福岡市の空き家を区ごとに見る|空き家率が7区でいちばん低い西区は、空き家の4割強が「その他空き家」で、北九州市の区ごとの数字は北九州市の空き家を区ごとに見る|空き家率2番目の小倉北区が、「その他空き家」の割合では7区でいちばん下で扱いました。
空き家は4つの種類に分けて数えられています
住宅・土地統計調査では、人が住んでいない住宅のうち「空き家」を、「賃貸用の空き家」「売却用の空き家」「二次的住宅(別荘など)」「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」の4つに分けて数えています。4つ目は、総務省統計局の令和5年住宅・土地統計調査 用語の解説で次のように説明されています(2026年10月25日確認)。
賃貸用の空き家、売却用の空き家及び二次的住宅以外の人が住んでいない住宅で、例えば、転勤・入院などのため居住世帯が長期にわたって不在の住宅や建て替えなどのために取り壊すことになっている住宅など(注:空き家の種類の判断が困難な住宅を含む。)
総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 用語の解説」
親が住まなくなり、貸しにも売りにも出していない実家は、この説明に近い状態です(実際にどの種類に数えられるかは、調査での判断によります)。名前が長いので、このページでは以下「その他空き家」と呼びます。
3つの市の人口は、5年間でいずれも減っています
先に、人口の動きを確かめておきます。以下の数字は、総務省統計局「令和7年国勢調査 都道府県・市区町村別の主な結果」から取りました(政府統計の総合窓口、2026年10月25日確認)。2020年の人口は、同じ資料に載っている組替後の数字です。増減率は資料の数字を小数第2位で四捨五入しています。
| 市 | 2025年の人口 | 2020年の人口 | 5年間の増減 | 増減率 |
|---|---|---|---|---|
| 大牟田市 | 101,874人 | 111,281人 | △9,407人 | △8.5% |
| 飯塚市 | 122,190人 | 126,364人 | △4,174人 | △3.3% |
| 久留米市 | 296,599人 | 303,316人 | △6,717人 | △2.2% |
| 福岡県 | 5,077,785人 | 5,135,214人 | △57,429人 | △1.1% |
3つの市とも人口は減っていて、減った割合がいちばん大きいのは大牟田市です。大牟田市の世帯の数の動きは、大牟田市・柳川市・みやま市の実家、どうする?同じ圏域で、世帯が減った市と増えた2市で扱っています。ここからは、人口とは別の調査である住宅・土地統計調査の数字を見ていきます。
空き家の戸数は久留米市が最多でも、その他空き家の割合は3つの市で最も低い
以下の数字は、総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」住宅及び世帯に関する基本集計の表1-2-1(居住世帯の有無別住宅数)から取りました(政府統計の総合窓口、2026年10月25日確認)。調査の時点は2023年10月です。割合は当サイトで計算し、小数第2位を四捨五入しています。県と全国の行は比べるために載せています。
| 市 | 住宅の数 | 空き家 | 空き家率 | その他空き家 | 空き家に占めるその他空き家の割合 |
|---|---|---|---|---|---|
| 久留米市 | 154,180戸 | 22,890戸 | 14.8% | 7,660戸 | 33.5% |
| 大牟田市 | 59,940戸 | 12,760戸 | 21.3% | 7,540戸 | 59.1% |
| 飯塚市 | 68,870戸 | 12,540戸 | 18.2% | 5,240戸 | 41.8% |
| 福岡県 | 2,703,300戸 | 335,300戸 | 12.4% | 125,500戸 | 37.4% |
| 全国 | 65,046,700戸 | 9,001,600戸 | 13.8% | 3,856,000戸 | 42.8% |
住宅の数は、久留米市が大牟田市の約2.6倍です。空き家の数でも、久留米市が3つの市のなかでいちばん多くなっています。ところが、その他空き家の戸数になると、久留米市と大牟田市はほぼ並びます。久留米市は空き家のうち14,050戸が賃貸用の空き家で(同じ表1-2-1)、空き家に占めるその他空き家の割合が県を下回っているのは、3つの市のうち久留米市だけでした。
大牟田市は、空き家率が3つの市でいちばん高く、空き家に占めるその他空き家の割合も県と全国の両方を上回っています。飯塚市は、県を上回り、全国を下回る位置です。
その他空き家を、空き家ではなく住宅全体と比べた割合も当サイトで計算しました。大牟田市が12.6%、飯塚市が7.6%、久留米市が5.0%で、福岡県全体は4.6%、全国は5.9%です。
なお、この調査は標本調査で、統計表の数値には標本誤差が含まれます。また、統計表の数値は表章単位未満の位で四捨五入されているため、総数と内訳の合計は必ずしも一致しません(総務省統計局「統計表利用上の注意」、2026年10月25日確認)。
その他空き家の中身:一戸建の割合と、腐朽・破損ありの割合
空き家の種類を、腐朽・破損の有無や建物の建て方と組み合わせた表もあります(総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」住宅及び世帯に関する基本集計の表34-2、2026年10月25日確認)。そこから、その他空き家の数と、そのうち一戸建の数、腐朽・破損ありの数を抜き出しました。割合は当サイトで計算しています。
| 市 | その他空き家 | うち一戸建 | 一戸建の割合 | うち腐朽・破損あり | 腐朽・破損ありの割合 |
|---|---|---|---|---|---|
| 久留米市 | 7,660戸 | 6,230戸 | 81.3% | 1,970戸 | 25.7% |
| 大牟田市 | 7,540戸 | 5,860戸 | 77.7% | 1,880戸 | 24.9% |
| 飯塚市 | 5,240戸 | 4,490戸 | 85.7% | 1,680戸 | 32.1% |
| 福岡県 | 125,500戸 | 92,500戸 | 73.7% | 29,200戸 | 23.3% |
| 全国 | 3,856,000戸 | 2,851,100戸 | 73.9% | 895,300戸 | 23.2% |
「腐朽・破損あり」は、同じ用語の解説で「建物の主要部分やその他の部分に不具合があるもの」とされ、例として、外壁がところどころ落ちていたり、かわらが一部はずれていたりするものが挙がっています。
3つの市とも、その他空き家に占める一戸建の割合は、福岡県全体と全国を上回っています。いちばん高いのは飯塚市です。腐朽・破損ありの割合も、3つの市とも県と全国を上回り、なかでも飯塚市は3割を超えています。
数字から読める点を、正直に
「売りやすい側」として読める点
1つ目は、1つ目の表の久留米市の行です。空き家の数だけを見て判断しないほうがよい市だ、と私たちは読んでいます。
「売りにくい側」として読める点
2つ目は、1つ目の表の大牟田市の行と、その下で計算した住宅全体に対する割合です。その他空き家の割合が、どちらで見ても3つの市で最も高い値でした。
3つ目は、2つ目の表の飯塚市の行の「腐朽・破損ありの割合」の列です。
どの点も、統計の数字の並びから読めることで、個々の家が売れるかどうかを示すものではありません。数字がこうなった原因についても、これらの表からは言えません。
実家の話が先に延びやすい理由
最初に引用した用語の解説では、入院などのため居住世帯が長期にわたって不在の住宅も、その他空き家の例に挙がっていました。家族が「まだ空き家ではない」と考えている時期でも、統計の上では空き家の側に数えられうる、ということです。私たちは、この時期に、売るか、貸すか、残すかを決めないまま時間が過ぎやすいと見ています。
飯塚市の空き家情報バンクのページは、制度の対象(主な事項)として「相続登記が完了していること。」「共有名義の場合、共有者全員の合意が得られること。」を挙げています。私たちは、名義と家族の合意も、話が先に延びやすいところだと見ています。名義の話は相続登記の義務化とは?で扱っています。
相場を自分で調べる3ステップ
- 国土交通省の不動産情報ライブラリで、不動産価格(取引価格・成約価格)情報を開き、実家のある市の取引の例を見る。
- 不動産のポータルサイトで、同じ市で売りに出ている、近い広さの一戸建てや土地を見る。
- 同じ不動産情報ライブラリの地価公示・都道府県地価調査で、実家に近い地点の価格を見る。
3つの市の窓口と空き家バンク
久留米市:久留米市空き家情報バンク(更新日2026年9月24日)は、空き家等の売却または賃貸を希望する所有者から申請を受けた情報を、購入や賃借を希望する方に紹介する制度です(問い合わせ先は都市建設部住宅政策課、電話0942-30-9139)。相談先については、市の空き家に関する相談窓口のページ(更新日2026年6月19日)が、令和8年度の空き家無料相談会の受付は終了したとしたうえで、現時点での相談先として福岡県空き家活用サポートセンター(イエカツ)を案内しています。
飯塚市:空き家情報バンク(更新日2025年12月1日)は、売りたい・貸したい所有者等から市が物件の情報を集め、輪番制であらかじめ決めた登録宅建業者に情報提供する仕組みです。所有者等が登録宅建業者と媒介契約を結んだあと、福岡県版空き家バンクに物件情報が掲載されます。制度の対象には、先に挙げた2つのほか、すでに宅建業者と媒介契約を結んでいないことなどがあり、農地付き物件は対象外とされています(問い合わせ先は都市建設部建設政策課住環境整備係)。
大牟田市:空き家所有者の方へ 大牟田市の空き家に関する取組のご紹介(最終更新日2026年7月17日)のページで、市と協定を結んだありあけ不動産ネット協同組合が、無料で相談できる「空き家・空き地相談窓口」を開設していることが案内されています。同じページには、大牟田市居住支援協議会が運営する空き家情報ポータルサイト「住みよかネット」が登録物件を募集していることも書かれています(問い合わせ先は都市整備部建築住宅課 空家対策担当、電話0944-41-2787)。
相談の受付方法や登録の要件は変わることがあります。内容は2026年10月25日に各ページで確認したものです。最新の情報は、各窓口でご確認ください。
まず何から手をつけるか、3つだけ
- 上の2つの表で、実家がある市の行を見る。空き家の数だけでなく、その他空き家の割合の列も見ます。
- 実家の名義と、家族のなかで誰がどう考えているかを書き出す。飯塚市の空き家情報バンクでは、前の章で引用した対象の条件にかかわる点です。
- 相場を上の3ステップで一度調べてから、市の窓口に相談する。
まとめ:空き家の「数」と「中身」は分けて見る
空き家の戸数では久留米市が3つの市で最も多く、空き家に占めるその他空き家の割合では最も低くなりました。空き家の多さだけでは、その市の空き家の中身までは分かりません。
私たちは不動産会社ですが、売ることを前提にお話はしていません。いまは売らないほうがいい実家もあります。まずは実家のある市の数字と、実家がいまどの状態にあるかを確かめるところから始めてください。
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