「中間も遠賀郡も、北九州の西側やけん、どこも似たようなもんやろう」

中間市と遠賀郡の実家は、こんなふうにひとくくりにされがちです。遠賀川が流れていて、鹿児島本線で小倉にも博多にも出られて、町の規模もそう変わらない。外から見れば、たしかにまとめて語りたくなる地域です。

ところが、2026年9月29日に公表された令和7年国勢調査の確報を開くと、この5市町は人口では足並みがそろい、世帯ではきれいに分かれていました。実家がどの市町にあるかで、考えるべきことが変わります。

5市町は、そろって人口を減らしていました

以下の数字は、総務省統計局「令和7年国勢調査 人口等基本集計」(令和8年9月29日公表)によるものです。政府統計の総合窓口e-Statの表1-1-1および表1-1-3から取りました(2026年9月30日確認)。増減は令和2年の調査との比較で、令和2年側の値は確報の組替値です。

市町人口(令和7年)人口増減数人口増減率世帯増減数世帯増減率
中間市38,408人△1,954人△4.84%+13世帯+0.07%
芦屋町12,289人△1,256人△9.27%△206世帯△3.68%
水巻町27,627人△487人△1.73%+581世帯+4.72%
岡垣町30,410人△597人△1.93%+357世帯+2.95%
遠賀町18,391人△332人△1.77%+266世帯+3.52%
(参考)福岡県5,077,785人△57,429人△1.12%+88,852世帯+3.82%
出典:総務省統計局「令和7年国勢調査 人口等基本集計」(令和8年9月29日公表。政府統計の総合窓口e-Statの表1-1-1・表1-1-3)。2026年9月30日確認。

5市町の人口を足すと127,125人で、前回から4,626人減りました。人口が増えた市町は、この5つの中にはありません。

県の伸びを上回ったのは、5市町で水巻町だけでした

県全体では、人が減っているのに世帯は分かれて増えるという形が出ています。世帯が増えているなら、次にその家に住む世帯は地元にまだいる、という読み方ができます。

ところが、この5市町の世帯の欄は、県とは違う並び方をしていました。上の表の最下行にある県全体の伸びを上回ったのは、水巻町だけです。遠賀町と岡垣町も世帯は増えていますが、県の伸びには届いていません。中間市と芦屋町については、このあとの「売りにくい側の事情も、正直に3点」でふれます。

人口のほうも、減り方に差があります。水巻町・遠賀町・岡垣町は県全体よりやや大きい程度ですが、中間市と芦屋町はそれよりはっきり大きく減っています(いずれも上の表のとおりです)。

「中間も遠賀郡もだいたい一緒」とまとめてしまうと、この差が見えなくなります。ご実家の話をするときは、市町の行まで下りて見ていただくほうが確かです。

この地域の実家が「売りやすい」といえる3点

1. 水巻町・遠賀町・岡垣町は、世帯が増えている側です

家を借りたり買ったりする単位は、人ではなく世帯です。この3町は人口が減りながら世帯は増えており、次にこの家に住む世帯が地元で増えている側、と読める形です。県版の空き家バンクのまち紹介ページによれば、水巻町へは博多駅から水巻駅まで鹿児島本線で約37分と案内されています(2026年9月30日確認)。

2. 5市町すべてに空き家バンクがあります

福岡県の移住・定住ポータルサイト「福がお~かくらし」の空き家についてのページには、市町村の空き家バンクが並んでいます。ここに、中間市空き家バンク、芦屋町空き家・空地バンク、水巻町空き家バンク「ミズマキ暮らし」、岡垣町空き家バンク、遠賀町空き家バンクの5つが載っています(2026年9月30日確認)。ご実家の市町に受け皿があるかどうかを探すところから始める必要は、この地域ではありません。

3. 遠賀町のバンクには「契約成立」の表示が9件並んでいます

遠賀町の空き家バンクのページには、物件番号1から11までが並んでいます。このうち1から8までと10には「契約成立」、9には「登録取消」と書かれており、いま条件が載っているのは物件番号11の1件です(ページの更新日は2026年9月8日。2026年9月30日確認)。

売りにくい側の事情も、正直に3点

1. 芦屋町は、人も世帯も減った側です

上の表のとおり、5市町のうち世帯が減ったのは芦屋町だけでした。世帯が減っているというのは、その町の中で世帯の数そのものが少なくなっている、と読める形です。

2. 中間市は、5年間で世帯がほとんど増えていません

中間市は人口の減少率が5市町で2番目に高く、世帯は横ばいでした。世帯が減ってはいないので芦屋町とは形が違いますが、「人は減っても世帯は増える」という県全体の形にも乗っていない並びです。

3. 県版の空き家バンクに、5市町の戸建が載っていません

福岡県には、公益社団法人福岡県宅地建物取引業協会が運営する県版の空き家バンク「空き家DE暮らす」があります。5市町のまち紹介ページを開くと、掲載はこうなっていました(いずれも2026年9月30日確認)。

  • 中間市:借りるは0件。買うは土地が1件で、戸建とマンションは0件
  • 水巻町:借りる・買うとも、すべて0件
  • 岡垣町:借りるは0件。買うは土地が1件で、戸建とマンションは0件
  • 芦屋町・遠賀町:まち紹介ページに、物件情報の欄そのものがありません

つまり県版だけを見ると、この5市町の戸建は1件も出てきません。一方で、さきほどの遠賀町のように、町のページには物件が載っています。県版で「出物がない地域」と受け取ってしまうと、市町のページにあるものを見落とします。福岡県の空き家バンクが県版と市町村版の二層になっていることは、福岡市の空き家バンクの使い方と登録の流れでも説明しています。

それでも先送りされてしまう、この地域なりの理由

この地域は、小倉からそう遠くありません。県版のまち紹介ページによれば、小倉駅から中間駅までは約40分、一般道を使っても約45分と案内されています。ご家族が北九州市内にお住まいなら、様子を見に行ける距離ということになります。

もうひとつは、聞く先が5市町でばらばらだという点です。次の章に並べたとおり、担当課の名前も、町がどこまで関わるかも同じではありません。「遠賀郡の空き家バンク」という共通の窓口はないので、どこに聞けばよいかは市町ごとに調べ直すことになります。

遠方からご実家を見ている場合の段取りは、遠方に住みながら実家を管理する方法にまとめました。

相場を自分で調べる3つのステップ

査定を頼む前に、ご自身で見当をつけておくことができます。順番はこの3つです。

ステップ1:実際の取引価格を見る

国土交通省の不動産情報ライブラリに「不動産価格(取引価格・成約価格)情報の検索・ダウンロード」というページがあります。都道府県と市区町村を選んで検索する形です(2026年9月30日確認)。

ステップ2:いま売りに出ている物件を見る

不動産のポータルサイトで、同じ市町・似た築年数・似た広さの物件を並べます。前の章のとおり、この地域は県版のバンクからは戸建が出てきません。ポータルと、ご実家がある市町のバンクの両方をご覧ください。

ステップ3:固定資産税の納税通知書を出す

毎年届く固定資産税の納税通知書を、まず手元に出しておいてください。中間市のページには、空き家バンクの物件募集について「物件募集は、固定資産税納付書など(市外:所有者)に同封し案内文(空き家バンク)を送付します」と書かれています。届いた封筒の中身を、一度ご確認ください。

窓口の形は、5市町それぞれ少しずつ違います

登録の手順は、5市町で同じではありません。各市町の公式ページに書かれている内容を並べます(いずれも2026年9月30日確認)。

  • 中間市:空き家バンク制度。市は売買・賃貸の仲介を行わず、契約の交渉は「個人」「市と協定した不動産業者」「所有者が既に契約している不動産業者」のいずれかの仲介で進める形です。窓口は建設産業部都市計画課定住促進係(電話 093-246-6155)
  • 芦屋町:芦屋町空家・空地バンク。平成28年11月に始まった制度です。町は物件の紹介のみを行い、ページには「契約時の当事者間のトラブル防止のため、宅地建物取引業者に仲介を依頼することをお勧めします」と書かれています。利用希望者は、物件ごとの詳細情報に記載された問い合わせ先に直接連絡する形です。窓口は環境住宅課地域振興・交通係(電話 093-223-3539)
  • 水巻町:空き家バンク制度。町と提携した宅建業者(協力事業者)を紹介する形です。ページには「既に他の宅建業者と専任媒介契約または専属専任媒介契約を結んでいる物件は、空き家バンクに登録することはできません」、また「空き家の状態や立地条件、相続登記などの権利関係の状況によっては、流通の見込みがないと判断し、空き家バンクに登録できないことがあります」と書かれています。窓口は住宅政策課定住促進係(電話 093-201-4321(代表))
  • 岡垣町:岡垣町空き家バンク。買いたい人・借りたい人は、利用登録申請書と顔写真付き身分証明書の写しに加えて「滞納無証明書」(いま住んでいる自治体が発行する、市区町村民税の滞納がないことの証明。過去3カ月以内に発行されたもの)を町に出す必要があります。町は情報の紹介や連絡調整を行い、仲介行為は行いません。窓口は都市建設課都市計画係(電話 093-282-1211)
  • 遠賀町:空き家バンク。登録には、町と協定を結んだ宅地建物取引業者と専属専任または専任の媒介契約を結ぶ必要があると書かれています。買いたい人・借りたい人は町への利用登録が要らず、物件を担当する協定事業者に直接問い合わせる形です。窓口は都市計画課都市計画係(電話 093-293-1317)

町が関わる範囲も、先に必要になる手続きも、それぞれ違います。ご実家がある町の手順を先に確かめておくと、動き出しが早くなります。

補助や支援の制度については、内容も受付の期間も年度ごとに変わります。このページでは金額や条件には触れません。制度の有無や中身は、ご実家がある市町の担当課でご確認ください。

まず何から手をつけるか、3つだけ

  1. 上の表で、ご実家がある市町の行を見る。「遠賀郡」ではなく、芦屋町か水巻町か岡垣町か遠賀町か。中間市も含めて、ここで前提が変わります
  2. 名義を確かめる。親の名義のままなのか、すでに祖父母の名義で止まっているのか。これが分からないと、売る・貸す・残すのどれも先に進みません
  3. その市町の担当課に、空き家バンクの手順を聞く。上に並べたとおり同じではありません。電話番号は、ご実家がある市町のページでもご確認いただけます

まとめ:「中間・遠賀郡」でひとくくりにしないこと

令和7年国勢調査の確報で、この5市町は人口がそろって減っていました。ただし減り方は同じではなく、世帯に至っては上の表のとおり形が分かれています。

「人は減っても世帯は分かれて増えるから、次に住む世帯はいる」という見方は、福岡県全体では今回も成り立っています。ご実家がどの市町にあるかで、この見方をそのまま当てはめられるかどうかが変わります。

私たちは不動産会社ですが、売却ありきでご案内することはしません。不動産を扱っているからこそ、いま売らないほうがよいご実家もあります。数字を見たうえで、残す・貸す・売るのどれが合うかを一緒に考えさせてください。

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ご実家をどうするか迷っているなら、1分でできる実家診断から始めてみてください。質問に答えるだけで、いまの状況に合う選択肢が分かります。

よくある質問

Q. 中間市と遠賀郡の4町は、同じように考えていいですか?

A. 令和7年国勢調査の確報では、人口の減り方にも世帯の増減にも違いが出ていました。詳しくは本文の表と、その前後の章をご覧ください。

Q. 5市町に空き家バンクはありますか?

A. いずれも制度があります。登録の手順と担当課は「窓口の形は、5市町それぞれ少しずつ違います」の章にまとめました。

Q. 実家の相場を自分で調べられますか?

A. 調べられます。本文の「相場を自分で調べる3つのステップ」で順番に説明しています。

Q. 相続の登記や税金のことも相談できますか?

A. 登記は司法書士、税金の申告は税理士の業務です。当社からご案内することはできませんので、専門家におつなぎする形になります。相続登記の義務化とは?もあわせてご覧ください。