「実家を民泊として活用したい」と思ったとき、多くの方がまず気になるのが「許可が必要なの?」という点です。
実は民泊には3つの法制度があり、どれを選ぶかによって手続きの名称・営業日数・費用が大きく異なります。「民泊の許可を取る」と一括りにされがちですが、まず自分がどの制度を使うかを理解することが最初の一歩です。
この記事では、3つの民泊制度の違いと、最も手軽に始められる「住宅宿泊事業法(民泊新法)」の届出手続きを中心にやさしく解説します。
民泊には3つの制度がある
まず、民泊に関する法制度を整理しましょう。
| 法律 | 手続き | 営業日数 | 窓口 |
|---|---|---|---|
| 住宅宿泊事業法(民泊新法) | 届出 | 年間180日以内 | 都道府県等 |
| 旅館業法(簡易宿所営業) | 許可 | 365日営業可 | 保健所 |
| 国家戦略特区法(特区民泊) | 認定 | 365日営業可(2泊3日以上が条件) | 指定自治体 |
実家を活用した民泊を個人が最も手軽に始めやすいのは、住宅宿泊事業法(民泊新法) による届出です。許可ではなく「届出」のため、要件を満たせば比較的スムーズに開始できます。
住宅宿泊事業法(民泊新法)とは
2018年6月に施行された「住宅宿泊事業法」(通称:民泊新法)は、一般住宅を旅行者に貸し出す「民泊サービス」を適切に管理するための法律です。
主なルール
- 年間営業日数は180日以内
- 都道府県(または政令市・中核市)への届出が必要
- 届出後に発行される届出番号の表示義務がある
- 宿泊者名簿の作成・保存義務がある
- 近隣住民への周知義務がある
- 消防法令に適合している必要がある
届出に必要な書類
住宅宿泊事業法に基づく届出に必要な主な書類は以下のとおりです。
| 書類 | 内容 |
|---|---|
| 住宅宿泊事業届出書 | 氏名・住所・物件情報などを記載 |
| 住宅の図面 | 各室の用途・床面積・設備の位置など |
| 登記事項証明書 | 建物の所有者確認のため |
| 消防法令適合通知書 | 消防署の検査を受けて取得 |
| 住宅の賃貸借契約書(賃借の場合) | 転貸が認められていることの確認 |
| 土地・建物の使用権原を示す書類 | 所有者であることの証明 |
| マンションの場合:管理規約 | 民泊が禁止されていないことの確認 |
届出は観光庁が提供する「民泊制度運営システム」からオンラインで行うことが原則です。
届出の流れ
STEP 1:物件が民泊に適しているか確認する 用途地域・マンションの管理規約・地域ルールなどを確認します。自治体によっては、特定の地域・期間のみ民泊を制限している場合があります。
STEP 2:消防署に相談する 消防法令に適合しているかを確認するため、物件所在地を管轄する消防署に事前相談します。必要に応じて、非常用照明・火災報知器・消火器などの設備を整えます。消防法令適合通知書を取得してから届出に進みます。
STEP 3:必要書類を準備する 届出書・図面・登記事項証明書など必要書類を揃えます。図面は専門家に依頼することもできます。
STEP 4:民泊制度運営システムから届出する 観光庁の「民泊制度運営システム」にアクセスし、オンラインで届出書類を提出します。
STEP 5:届出番号を受け取り、事業開始 届出が受理されると届出番号が発行されます。この番号を物件内・予約サイト上に表示した上で営業を開始します。
自治体ごとの独自ルールに注意
民泊新法では、自治体が条例で独自のルールを設けることができます。
たとえば、住居専用地域での営業制限・特定期間(連休・繁忙期)の営業禁止・騒音対策の義務付けなど、自治体によって制限の内容はさまざまです。
福岡県・福岡市エリアでも自治体ごとのルールがあります。届出前に必ず、物件所在地を管轄する窓口に確認することをおすすめします。
旅館業法との違いを整理する
「民泊新法の180日制限が厳しい」と感じる場合は、旅館業法(簡易宿所営業)での許可取得を検討することもできます。
| 民泊新法 | 旅館業法(簡易宿所) | |
|---|---|---|
| 手続き | 届出(比較的簡単) | 許可(審査あり) |
| 営業日数 | 年間180日以内 | 制限なし(365日可) |
| 必要設備 | 比較的少ない | 客室・衛生設備など要件あり |
| 費用 | 比較的低い | 申請・設備費がかかる |
| 向いているケース | 副業・試しに始めたい | 本格的に収益化したい |
実家を民泊として活用することを「まず試してみたい」という場合は民泊新法、本格的に収益化を目指す場合は旅館業法という使い分けが一般的です。
民泊開業でよくある失敗
消防法令の対応を後回しにする
消防法令適合通知書は届出に必須です。消防署の検査・改修に時間がかかることもあるため、最初に確認しておくことが重要です。
自治体の独自ルールを確認しない
「民泊新法で届出すれば大丈夫」と思っていても、自治体の条例で営業が制限されているエリアや期間がある場合があります。
近隣住民への周知を怠る
民泊新法では、周辺住民への周知が義務付けられています。近隣トラブルは民泊経営の最大のリスクの一つです。開業前のコミュニケーションが大切です。
運営管理の手間を過小評価する
チェックイン対応・清掃・備品補充・問い合わせ対応など、運営には継続的な手間がかかります。運営代行サービスを活用することで、手間を大幅に減らすことができます。
まとめ:まず「どの制度で始めるか」を決める
民泊を始めるための手続きをまとめます。
| 制度 | 手続き | 営業日数 | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 民泊新法 | 届出 | 年180日以内 | 副業・試しに始めたい |
| 旅館業法 | 許可 | 365日可 | 本格的に収益化したい |
| 特区民泊 | 認定 | 365日可 | 指定エリアで長期滞在向け |
手続きの複雑さよりも、「まずどの制度で始めるか」を決めることが先決です。物件の立地・目指す運営スタイル・かけられる初期費用によって、最適な選択肢は変わります。
実家ラボでは、不動産×民泊事業者と連携しており、許認可申請からリフォーム・運営代行まで一貫してサポートできます。「民泊として使えるか確認したい」「手続きが複雑で一人では難しい」という方も、ぜひお気軽にご相談ください。
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